宇垣美里×SilverX 中島大志 | 本当にお客様のためになっているのか。人材紹介への疑問からVOLLECT創業に至るまで

宇垣美里さんが、新たな挑戦に踏み出すビジネスパーソンの仕事観に迫る本連載。今回のゲストは、株式会社SilverX 代表取締役CEOの中島大志さんです。全4回の第1回では、ボストン留学で触れた「自分の幸せ」を追求するキャリア観や、140社に及んだ就職活動、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)での経験を振り返ります。入社初日から「自分が参加する意義」を問い続け、人材紹介の仕組みへの疑問をきっかけに、ダイレクトリクルーティングに特化した株式会社VOLLECTを創業した中島さん。その原動力と仕事観について伺いました。
プロフィール
話し手
中島大志(株式会社SilverX, 代表取締役CEO)
聞き手
宇垣美里
「自分の幸せ」を追求するキャリア観に衝撃。140社に及んだ就職活動
宇垣さん:大学時代にボストンへ留学されていたそうですね。何を勉強されていたんですか?
中島さん:ボストン留学は全然大したことではなくて、普通に英語を勉強しに行きました。大学では国際関係学部を専攻していたんですけど、大学時代にほとんど何も勉強していなくて。「英語ぐらいはちょっと話せるようになりたいな」と思い、ボストンへ行ったという感じですね。
宇垣さん:現地では、ハーバード大学の学生などとお会いする機会がたくさんあったと伺いました。実際に行かれて、いかがでしたか?
中島さん:彼らのキャリア観に触れ、ものすごく刺激を受けましたね。
そもそもボストンを選んだのは、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学など、優秀な学生が集まる大学があったからです。現地で彼らと関係を築き、どのような価値観を持っているのかを知りたいと思っていました。
宇垣さん:キャリア観が違ったというのは、具体的にどういうことだったのでしょうか?
中島さん:彼らは、自分にとっての幸せや、人生で何を一番大切にしたいのかを軸をとても大切にしていて、その上で、先の進路を決めていたんです。
日本では、優秀だとされる大学の出身者ほど、誰もが知る大手企業を目指すことが多いですよね。自分にとって何が大事なのかを考える機会があまりなかった自分にとっては、自分の在り方を明確に持って行動しなければいけないという彼らの考え方はかなり衝撃的でした。

たとえば、「ハーバードに行って、タクシーの運転手になるんだ」と話す学生もいました。僕が「いや、それはいまじゃなくてもいいんじゃないの?」と言うと、「いまはパートナーとどう時間を使うかが、自分の人生にとって一番重要だから、このキャリアを選ぶんだ」と。自分にとっての幸せを追求してキャリアを選ぶ姿に、結構びっくりしましたね。
宇垣さん:就職をゴールにするのではなく、自分の幸せを軸に進路を選んでいたということですよね。なるほど。そして帰国後、1回の留年を経て、2年間で合計140社ものエントリーシートを提出されたそうですが、なぜそれほど多くの企業へ応募したのでしょうか?
中島さん:自分が大切にしたい価値観を尊重できる会社を選びたかったからです。
ハーバードの学生ではないですけど、みんながよいと言う会社ではなく、きちんと自分の価値観で選びたいと思っていました。ただ、そもそも仕事をした経験がないなかで、どのような会社を選ぶべきか判断するのは相当難しいじゃないですか。就職活動は、人生における重要な意思決定のタイミングだと考えていました。
では、その難しさをどう乗り越えるか。考えた末に、とにかくたくさんの会社を見ようと思い、140社にエントリーシートを提出したという感じですね。
常に「自分がやる意義」を問う。インテリジェンスで育んだ働く姿勢
宇垣さん:たくさんの会社をご覧になったなかで、最終的にインテリジェンス(現:パーソルキャリア)への入社を決めた理由は、どこにあったのでしょうか?
中島さん:インテリジェンスが掲げていた「はたらくを楽しもう」というビジョンに、強く惹かれたからです。
人生の多くの時間を仕事に費やすことは明らかなので、「その仕事が楽しかったら最高だな」と思っていました。そんな中で、大人がその言葉を真面目に掲げていることが、僕にはすごく新鮮だったんですよね。
そうした価値観を真正面から掲げる会社にたまたま出会い、入社を決めました。ボストンに行っていなければ、このような考え方にはならなかったのかなと思います。
宇垣さん:配属初日の会議で、「自分が参加する意味はありますか」と尋ねたそうですね。なかなか勇気のいることだと思うのですが、そのとき、周囲の方はどのような反応でしたか?

中島さん:いま思えば生意気だったなと思うんですけど、当時の上司は「すごくいい観点だね」と褒めてくれたんです。
配属後、最初に参加した会議では、知らない専門用語や業界用語が飛び交い、話の内容がまったくわかりませんでした。「よくわからない話を1時間くらいずっと聞いているだけで本当にこの会議に参加する意味はあるのかな」と感じたので、「ちなみに僕は、どういう理由でいまこの会議に参加させてもらっているんですか?」と聞いたんですよね。
宇垣さん:褒められるとは思いませんよね。
中島さん:「うぜえ、黙ってとりあえず参加しとけよ」って言われそうじゃないですか。まだ1年目なのに(笑)。でも、そのときの上司は、「自分がなぜこれをやっているのかを問う姿勢は、ものすごく重要だ」と教えてくれたんです。
社会人として年を重ねるにつれて、その観点は徐々に失われていくとも言われました。その後も、成果を出せば出すほど「じゃあ、中島君はどうしたいの?」と聞いてもらえる環境があったんです。
新しいことにもどんどん挑戦できましたし、自分が思い描く方法で取り組ませてもらえました。結果的に、「はたらくを楽しもう」という価値観をきちんと実現できる会社だと感じましたね。
宇垣さん:そして、社内でMVPを獲得した際、先輩から「その案件はお前じゃなくてもできたのではないか」と言われたそうですね。これもなかなか厳しい言葉だと思うのですが、そこから意識はどのように変わりましたか?
中島さん:インテリジェンスで新たな領域に挑み、ほかの人が成し遂げていないことで成果を出したいと、意識が大きく変わりました。
僕自身、MVPを何度か取って喜んでいた部分もあったんですが、先輩のその一言を聞いて、「確かにな」とすごく納得したんです。どの会社でもそうかもしれませんが、「こういう案件に携わらせてもらえたから」「こういうクライアントを任されたから」成果を出せた、ということはあると思います。
ただ、それでは「自分自身じゃなきゃいけない理由」が薄くなってしまうんですよね。だからこそ、自分が取り組む意義を見つけたうえで、成果を出していきたいと考えるようになりました。
「本当にお客様のためになっているのか」。人材紹介への疑問から、ダイレクトリクルーティングに特化したVOLLECTを創業
宇垣さん:その後もMVPを何度も獲得されたそうですね。起業は、どのタイミングで考えるようになったんですか?
中島さん:実はインテリジェンスへ入社する時点で、うっすらと起業に興味を持っていました。
僕が就職活動をしていた当時、堀江さんやZOZOの前澤さん、サイバーエージェントの藤田さんなどがメディアに出ていて、「かっこいい大人だな」と思っていたんです。インテリジェンスは、創業者の宇野さんはもちろん、楽天ゴールデンイーグルスを立ち上げた島田さんやサイバーエージェントの藤田さんなど多くの起業家を輩出している会社でした。入社すれば、起業につながる経験を積めるのではないかという思いもありましたね。
宇垣さん:入社当時から、起業を意識していたんですね。インテリジェンスを退社したあとに別の会社を立ち上げ、そこから株式会社VOLLECTの創業へとつながったそうですが、どのような経緯があったのでしょうか?
中島さん:退職後、1人で会社を経営していた元同僚と「株式会社THRILL」という会社を立ち上げました。前職で担当していたコンサルティングファームを中心に、人材紹介サービスを提供する会社です。
ただ、僕は1年ほどで辞めました。信頼している先輩から、「インテリジェンスでやっていたことを、なぜわざわざ起業してやっているの?」と言われたことがきっかけです。会社で経験した仕事と同じ領域で独立するのはよくあることですが、その言葉が僕のなかでは妙に引っかかってしまって。
何か新しいことに取り組みたいと思っていたなかで出会ったのが、ダイレクトリクルーティングでした。この手法に特化したサービスを提供しようと考え、2018年にVOLLECTを創業したという流れですね。
宇垣さん:新しいことに取り組みたいという思いが、VOLLECTの創業につながったんですね。ダイレクトリクルーティングに特化しようと考えたのは、なぜだったのでしょうか?
中島さん:人材紹介の仕組みに対して、「本当にお客様のためになっているのか」と、ずっと疑問を抱いていたからです。
インテリジェンス時代は、人材紹介の法人営業を担当していました。人材紹介では、採用が決定するまで報酬が発生しません。そのため、採用につなげるには、企業が求める人材の要件を広げてもらうことがめちゃくちゃ重要だったんです。企業から「特定のスキルを持つ人が欲しい」と言われても、「その条件を満たす人はなかなかいません」と説明し、要件を広げたうえで採用してもらっていました。
一方、ダイレクトリクルーティングなら、企業が本当に求めている人材を採用できる手法になると思ったんです。それが、ダイレクトリクルーティングに最初に興味を持った理由ですね。
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